過ぎし宝暦のころ、ある老女が、目の病に悩んでいました。医者に行っても薬
を飲んでも治らないで途方にくれていました。
その痛みは耐えられないほどのものでした。そこで、閻魔様に救いを求めて
21日間の限りと日参りを決心しました。

この間、老女は大好物の「こんにゃく」を絶って、一心不乱に祈願をしました。
お参り最終日の夜、閻魔様が老女の夢の中にでてきて、おっしゃった言葉は
なんと「わが片眼を汝に与えよう‥」
目覚めた老女は、両目の痛みがなくなり、片目が前にもましてよくなっている
ことに驚きました。しかし、こんなことがあるものかと不思議に思いその明け方、
ふたたび本堂にお参りに行きました。

すると、昨日は確かにあったはずの閻魔様の片目がなくなっているではありま
せんか。 自分の身代わりになって助けてくださった閻魔様に、老女は感謝の気持ちが
あふれてきました。
老女は願いをかなえてくださったお礼に、好物の「こんにゃく」絶って、供えて奉
り続けたということです。